「タラップ上げろ。船台ロックオープン」
「艦内全機構異常なし。エネルギー正常」
「補助エンジン内圧力上昇。始動10秒前」
「補助エンジン動力接続」
「補助エンジン動力接続。スイッチオン。補助エンジン低速回転1600。両舷推力バランス正常パーフェクト」
「微速前進0.5」
「微速前進0.5」
「ゲートオープン」
「ゲートオープン」
「ヤマト、海中へ進入」
「波動エンジン内エネルギー注入」
「補助エンジン第2船速から第1宇宙ノットまで後30秒」
「波動エンジンシリンダーへの閉鎖弁オープン。波動エンジン始動5分前」
「波動エンジン内圧力上昇。エネルギー充填100パーセント」
「波動エンジン点火2分前」
「フライホイール始動10秒前」
「海面まで後30秒。現在、補助エンジンの出力最大」
「波動エンジン内エネルギー充填120パーセント。フライホイール始動」
「フライホイール始動」
「波動エンジン点火10秒前」
「5、4、3、2、1。フライホイール接続。点火」
「ヤマト、発進!」
「上昇角40度。全艦、異常なし。大気圏内航行、主翼展開」
「沖田の子供たちがゆく…」
「何をもたもたしとるかっ!早く着艦口を開けろ!」
「先生…。この艦にはまるで沖田艦長がいるようだな」
「ああ。いるよ。みんなと一緒にな」
「空間騎兵隊降下」
「反物質!あなたは、反物質世界の人間なのですね!?」
「私は、あなた方のために祈り続けます。しかし、それは、ヤマトや地球のためだけに祈るのではありません。宇宙は広い。でも、一つなのです。私は、あなた方が全宇宙の人々のために戦い抜く、その勇気のために祈り続けます」
「テレサ!」
「そうか…宇宙の愛か…」
「第一砲塔損傷!」
「第二砲塔損傷!」
「ミサイル発射口損傷!」
「右舷魚雷発射口損傷!」
「レーダーには、何も映りませんでした」
「瞬間物質移送機!」
「まさか…」
「デスラー戦法か!?」
「ばかな…デスラーは、とっくに死んだ筈じゃないか」
「艦載機発進口損傷!」
「第三砲塔損傷!」
「ヤマトの全砲塔、使用不能!」
「デスラー…これは、デスラーだ。奴は生きていたんだ」
「古代!」
「デスラーが…」
「生きていた、だって!?」
「フフフフ…ハハハハ…その通りだヤマトの諸君。また会えて光栄の至りだ」
「デスラー総統。生きていたのか」
「大ガミラスは永遠だ。我がガミラスの栄光は不滅なのだよ、ヤマトの諸君。気の毒だがまもなく諸君には死んでもらうことになるだろう。ヤマトの健闘を祈る。…フハハハハハ…フハハハハハッ!」
「ヤマトにとどめを刺すのだ。タラン、勝利は目前だぞ」
「はっ。総統」
「全速力でヤマトに向かえ!ゆけ!!」
「大ガミラスも…とうとうわたし一人になったか…」
「デスラー!!」
「ヤマトの坊やか。待っていたよ」
「デスラー。お前はガミラス星のために戦った。だが、今度の戦いは何のためなのだ」
「ヤマトは強かった。沖田は立派な艦長だった。だが、わたしは屈辱を忘れん男だ。倒すべき相手はヤマト。古代。今度はお前が相手か。立派になったものだ」
「構えろ。デスラー」
「撃て。古代。…撃たないか!」
「古代。わたしの負けだな」
「傷ついていたのか」
「ガミラスの再建とヤマトへの復讐。それがわたしの悲願だった。彗星帝国に身を寄せ屈辱の日々に甘んじて来たのも、その日が来るのを信じてのことだった。しかし、もうよい。わたしは十分に戦った。わたしの戦いは終わったのだ」
「総統…」
「あぶないっ!」
「ユキッッ!!」
「ユキ…ユキ…!大丈夫だ…傷は…大丈夫だ!ユキ…。しっかりしろ…!ユキっ!」
「お前の恋人か…?許せ、古代。ヤマトの諸君に伝えてくれ。彗星帝国に身を寄せていたとはいえ私の心は、はるかに君たちに近い。古代、戦え」
「デスラー総統」
「ヤマトなら戦う方法はいくらでもある。いいか、古代。白色彗星の渦の中心核を狙え」
「渦の中心核?」
「この戦闘、ヤマトが勝つ。成功を祈る!」
「デスラーーーっっっ!!」
「ああっ…!」
「ユキっ!」
「大丈夫か!?ユキっ!」
「…古代…くん…これからよ…本当の戦いは…」
「…ああ…」
「地球の…みんなの願いが…込められているのよ…勝ってね…古代くん…きっと勝ってね…それでこそ古代進…あたしの…」
「あ…あぁっ…ユキ!…ユキ…ユキっ…」
「先生!また怪我人が」
「ああ!その辺に置いとけ!」
「あ!こら!ヤマトカクテル作れや!とびきり美味いやつをな!」
「酒!?さすが先生、こんな時でも。引き受けた!」
「お!おっとと…!出来たぜ!先生!望みのやつが!…先生!!?」
「エンジン出力低下…しかし…航行に支障なし…!」
「徳川機関長!機関長っ!!」
「生きて汚名を晒していたわたしも…やっと」
「古代。次の艦長は…君だ」
「艦長!」
「あれを見ろ。敵艦載機の射出口だ。あの射出口から都市に侵入しろ。内部の動力源を破壊する他に、勝つ手段はない。…戦え、古代。地球の運命は、君の肩に…君たちの肩にかかっているのだ」
「はい!古代進!ヤマト艦長の任に着きます!」
「頼むぞ…古代…」
「土方前艦長の命令を決行するっ!!」
「これじゃとてもあそこまでは行けない。古代、援護してくれ」
「わかった」
「俺たちが向こうへ着いたら、お前は帰れ」
「何?!ばかな!」
「お前は艦長だ。艦に戻って指揮を執れ」
「真田さん」
「古代、俺はお前を実の弟のように思って来た。いいな…立派な艦長になるんだぞ」
「行くぞ!」
「ここまで来りゃしめたもんだ!」
「古代、行け!…行け!行かんかぁっ!!」
「技師長!慌てず急いで正確にな!」
「もう少しだ!頑張ってくれよ!」
「着いたよ。加藤。生きて帰ったのは、どうやら俺たちだけらしいな…あ…あっ加藤!」
「点火するぞ!」
「隊長…ありがとう」
「大きな…大きな代償だった…艦長…真田さん…斉藤…コスモタイガー…!」
「どうだ。分かっただろう。宇宙の絶対者はただ一人、この全能なるわたしなのだ。命ある者はその血の一滴まで俺のものだ。宇宙は、すべて我が意思のままにある。わたしが宇宙の法だ。宇宙の秩序なのだ。よって当然地球もこの私のものだ。フッハハハッ!フハハハハハッ!!」
「違うっ!断じて違う!!宇宙は母なのだ。そこで生まれた生命は、すべて平等でなければならない。それが宇宙の真理であり、宇宙の愛だ!お前は間違っている!それでは宇宙の自由と平和を消してしまうものなのだ!俺たちは戦う!断固として戦う!」
「フハハハ…よかろう。だがヤマトよ、満身傷つきエネルギーすら底をついた貴様がどうやって戦おうと言うのだ!フッハハハッ!フハハハハハッ!!」
「沖田さん…僕は…ヤマト艦長古代は…どう、どうすれば…。沖田さん…あなたなら今どう戦いますか。教えてください…沖田さん」
「古代よ…わしにはもうお前に教えることは何もない。お前は立派に成長したヤマトの艦長だよ。古代。ヤマトの艦長ならヤマトを信頼するんだ」
「ヤマトを…信頼する!?」
「そうだ。お前にはまだ武器が残されているではないか。戦うための武器が」
「お願いです。沖田さん。どこにあるんです!?何が武器なんです!?」
「命だよ」
「え?」
「お前にはまだ命が残っているじゃないか。なぁ、古代。人間の命だけが邪悪な暴力に立ち向かえる最後の武器なのだ。素手でどうやって勝てる?死んでしまって何になる。誰もがそう考えるだろう。わしもそう思う。なぁ古代。男はそういう時でも立ち向かって行かねばならない時もある。そうしてこそ初めて不可能が可能になって来るのだ。古代、お前はまだ生きている。生きているじゃないか。ヤマトの命を生かすのは、お前の使命なんだ。命ある限り戦え。分かるな?古代」
「総員、ただちに退艦せよ」
「しかし!古代、お前は!」
「反問は許さん!退艦しろ!」
「古代…やだ!嫌だ!俺も一緒に残るっ」
「わたしも残ります!」
「わたしも!」
「これは、艦長命令だ」
「無茶な命令には反対する権利があるっ!」
「みんな聞いてくれ。地球は絶対に生き残らなければならない。そのためにあの巨大戦艦を倒す。それにはヤマトと俺一人で十分なんだ。みんなは俺がこれから死にに行くと思っているんだろう。そうじゃない。俺もまた生きるために行くんだよ。命というのは、たかが何十年の寿命で終わってしまうようなちっぽけなものじゃない筈だ。この宇宙いっぱいに広がって永遠に続くものじゃないのか。俺はこれからそういう命に自分の命を変えに行くんだ。これは死ではない」
「古代…!」
「しかし、世の中には現実の世界に生きて熱い血潮の通う幸せを作り出す者もいなければならん。君たちは、生き抜いて地球へ帰ってくれ。そして俺たちの戦いを永遠に語り継ぎ、明日の素晴らしい地球を作ってくれ。…生き残ることは、時として死を選ぶより辛いこともある。だが、命ある限り生きて、生きて、生き抜くこともまた人間の道じゃないのか」
「古代…!」
「島…頼む」
「…うん…」
「両舷全速。目標、敵巨大戦艦。ヤマト、発進します」
「ありがとう。古代さん。私はあなたの中に勇気と愛の姿を見せていただきました。あなたのおかげで人々は目覚め、より美しい地球と宇宙のために働くことでしょう。私は、この日を待っていたのです。反物質である私の体がお役に立つでしょう。さあ、参りましょう」
「ユキ。やっと二人きりになれたね。君には苦しい思いばかりさせてごめんね。これからいつも一緒にいるよ。人間にとって一番大切なものは、愛することだ。でも僕が一番大切なものは、君だ。君への愛だ。ユキ。好きだ。大好きだ。大きな声で言える。ユキ。僕たちはこの永遠の宇宙の中で星になって結婚しよう。これが二人の結婚式だ」
「その人の優しさが花に勝るなら。その人の美しさが星に勝るなら。君は手を広げて守るがいい。体を投げ出す値打ちがある。一人一人が思うことは愛する人のためだけでいい。君に話すことがあるとしたら今はそれだけかも知れない。いつの日か唇に歌が甦り。いつの日か人の胸に愛が甦り。君は手を広げて抱くがいい。確かに愛した証しがある。遠い明日を思うことは愛する人のためだけでいい。君に話すことがあるとしたら今はそれだけかも知れない。今はさらばと言わさないでくれ。今はさらばと言わさないで欲しい」
西暦2201年。ヤマトは今、永遠の旅に旅立って行った。
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はい。またもや長い長い台詞の抜粋で申し訳もありませぬ。
でも抜粋とはいえこれらの台詞を読んでラスト付近で映像を思い出してうるっとした方は、立派な「ヤマト」通。
『さらば』って内容には色々な意見がありましょうけれども、シナリオは素晴らしいと思います。始めから終わりまでブレがなく統一感があって言葉がよく練り込まれています。
今回台詞を書き出してみて気づいたことは、自分は結構影響を受けているなぁということ。言葉遣いというか言葉の選び方というか言葉の表現の仕方というか。私は子供の頃に見た「ヤマト」のシリーズで無自覚に色んなことを学んでいたようです。
それにしても『さらば』はホントに辛い。ドラマ編でも泣けて泣けてしようがなかった。
声優さんのなんと上手いこと。みんながみんな本当に上手い。どうしてこんなに泣かせるんだ…というくらい。辛いけれどもやっぱり最高だと思わずにいられません。
台詞の抜粋の一番上にあるヤマト発進のプロセスは、『さらば』でも好きなシーンの一つ。そういえば子供の頃は、発進プロセスを暗記してスラスラと言えました。今ではもう無理ですが。
ただこれも多少カットしてるのかな…してるよね…。確か「ドック内注水開始」とか「水位艦橋を越えます」といった台詞もあった筈。
ドラマ編独自の展開としてラストの西崎氏の朗読については表レビューで書きましたが、もう一点気づいたことがあって、それは都市帝国動力炉爆破シーンのクライマックスである真田さんの最期。爆破のための機材をセットした後に、銃弾を受けて倒れたというシーンがナレーションで入っていて、おそらくこれもドラマ編独自のシーンかと。
こうしたシーンに気づくと、「ヤマト」ってどんだけ貪欲に作品を作っていたのか…ということを思い知らされ、またさらに深みにハマってゆくことに。
こうして私は抜け出せない「ヤマト」のループに自ら入ってゆくのであります。
真面目レビューはこちら→
「さらば宇宙戦艦ヤマト/愛の戦士たち ドラマ編」
(
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